市販のホワイトニング剤で歯は白くなる?着色の原因・選ぶ際の注意点

白い歯を保ちたい方や歯の黄ばみが気になる方の中には、市販のホワイトニング剤に興味を持っている方もいるでしょう。近年は各メーカーからさまざまなホワイトニング剤が販売され、人気となっています。手軽に歯の美白ケアができることは、市販品の大きな魅力です。しかし、市販のホワイトニング剤の使用にあたって「本当に歯が白くなる?」「身体に悪影響がない?」と疑問を抱く方は少なくないでしょう。

そこで今回は、市販のホワイトニング剤の効果や歯科医院のホワイトニング剤との違いについて解説します。失敗しないホワイトニング剤の選び方も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

1.ホワイトニングとは?

ホワイトニングとは、歯の色調を明るくすることで白く見せる技術のことです。歯はエナメル質・象牙質・歯髄で構成されており、ホワイトニングは最も表層のエナメル質に働きかけます。

ホワイトニングを歯のクリーニングだと誤認している方は少なくありません。しかし、クリーニングは歯の表面を磨いて白さを取り戻す技術であり、ホワイトニングとは別物です。

ホワイトニングの歴史は古く、1989年にアメリカで実用化され、日本では1995年にホワイトニングに特化した歯科医院が登場しました。現在では、多くの歯科医院でホワイトニングが行われています。

1-1.歯が着色する原因

歯が着色する原因は、外因性と内因性に分かれます。

<外因性>

外因性は、歯の着色汚れ(ステイン)が原因である場合を指します。

着色汚れの原因となる主な飲食物
・コーヒー・紅茶・赤ワイン・チョコレート・カレーライス

上記には、タンニンなどの歯に着色しやすい成分が多く含まれることが特徴です。一度歯に着色してしまうと、一般的な歯磨き粉ではなかなか落とせません。また、タバコのヤニも歯の白さを失う原因の一つです。

<内因性>

内因性は、歯の内部が着色した状態を指します。歯のエナメル質は本来透明ですが、内部の象牙質はもともと黄色味を帯びた組織です。加齢によってエナメル質は薄くなる一方で、象牙質は厚さを増していきます。歯のクリーニングをしても黄ばみが取れない方は、象牙質が透けてしまっているなど内因性が疑われるでしょう。なお、内因性の場合は現時点でホワイトニングしか改善の方法がありません。

1-2.ホワイトニングのメカニズム

ここでは、ホワイトニングのメカニズムに着目してみましょう。ホワイトニングで歯が白くなる理由は、2つあります。

1つ目は、ホワイトニング剤の有効成分によって、エナメル質が無色透明の状態に戻るためです。有効成分に熱や光を加えることで酸素を発生させ、エネメル質内部の色素を分解します。

2つ目は、マスキング効果と呼ばれる働きです。歯のエナメル質は、微細な柱の集合構造となっています。柱はそれぞれ角ばっており、一定の透過性があることが特徴です。しかし、ホワイトニング剤を使用すると、有効成分により、柱の表面が丸みを帯びた形状に変化します。すりガラスのように光が乱反射し、黄色味を帯びる象牙質が見えにくくなることで、歯を白く見せます。

ホワイトニングはこれらのメカニズムによって、歯を短期間で白く輝いた状態にします。いくら歯磨きをしても歯が黄ばんでしまう方は、ホワイトニングを試してみてもよいでしょう。

2.市販のホワイトニング剤で歯は本当に白くなる?

まず、市販のホワイトニング剤で本当に歯が白くなるのかというと「白くなることもある」が結論です。歯の状況や汚れの原因などは人によって異なるため、必ずとは言い切れませんが、市販のホワイトニング剤で歯が白くなる可能性はあると言えます。

市販のホワイトニング剤の場合、歯の汚れや黄ばみを落とす作用があるため、もともとの白さに近づけることはできますが、本来の歯の白さ以上に白くなることはありません。例えば犬歯(笑ったときに見える尖った歯)は黄ばんでいるのが一般的であるため、市販のホワイトニング剤では真っ白にすることは難しいでしょう。

2-1.市販のホワイトニング剤の種類

市販のホワイトニング剤の種類としては、大きく分けて下記の5種類があります。

歯磨きタイプ

毎日の歯磨きで取り入れることができ、新たに習慣化する必要ないため、負担なく使えます。種類によっては歯のエナメル質を傷つけるような研磨剤が入っている場合もあるため、注意が必要です。

液体タイプ

歯磨きの仕上げにマウスウォッシュタイプで汚れを落としてくれる、あるいは歯磨き前に使って汚れを浮かせやすくする効果をアピールする製品が多いです。

消しゴムタイプ

ピンポイントについたヤニや汚れなどを、ゴシゴシとこすって落とすタイプの市販のホワイトニング剤です。全体的というよりも、気になるところをケアする使い方が主流です。

シールタイプ

歯に貼り付けて薬剤を浸透させ、汚れを浮かせることができる商品です。1日1回など回数が決まっているため、習慣化する必要があります。

マニキュアタイプ

ペンやマニキュアのようなもので歯に直接ホワイトニング剤を塗るタイプです。塗った後にブラッシングして落とすタイプや、汚れを落とすのではなく歯の黄ばみを目立たなくするラメなどを含んだコーティングタイプなど、さまざまな種類があります。過酸化物など、歯にダメージを与える成分が入っていないか、事前に確認しておく必要があるでしょう。

市販のホワイトニング剤を使う場合、歯の汚れの程度によってはさほど変わらないこともあれば、効果があっても期間が短く、キープするためにお金をかけて習慣化しなければならないこともあります。中には、汚れが落ちるもののエナメル質を削ってしまう、歯に傷をつけてしまうホワイトニング剤もあるため、よく確認してください。

2-2.市販のホワイトニング剤・歯科医院のホワイトニング剤の違い

市販のホワイトニング剤と歯科医院のホワイトニング剤は、有効成分が違います。

市販のホワイトニング剤の主成分は、ポリリン酸ナトリウムとメタリン酸ナトリウムです。ポリリン酸ナトリウムは歯の着色汚れを除去し、ポリリン酸ナトリウムは歯をコーティングする効果があります。ただし、どちらも効果は歯の表面に限定され、歯の組織全体を白くする効果はありません。

歯科医院のホワイトニング剤は、過酸化水素や過酸化尿素が主成分です。歯を白くする酸素は、過酸化水素や過酸化尿素によって生成されます。過酸化尿素より過酸化水素のほうが分解作用は強力ですが、いずれも薬機法(旧薬事法)により歯科医師や歯科衛生士しか取り扱うことができません。

なお、近年はエステサロンや美容院でもホワイトニングを行っていますが、市販のホワイトニング剤と同等レベルにとどまることを認識しておきましょう。

2-3.市販のホワイトニング剤を選ぶ際のポイント

歯科医院で使用するホワイトニング剤と成分は違いますが、市販のホワイトニング剤は安価で日常的にケアできることがメリットです。市販のホワイトニング剤を選ぶ際は、下記のポイントを押さえましょう。

  • 成分表示を十分にチェックする
  • 発泡剤不使用のタイプを選ぶ
  • 研磨剤不使用または低研磨性のタイプを選ぶ
  • コスト面も考慮する

まずは、有効成分であるメタリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムが含まれているかをチェックしましょう。歯の表面の微細な傷を埋めてくれる、ヒアドロキシアパタイトが含まれているとさらに効果的です。

また、発泡剤が含まれていると口の中がすぐに泡でいっぱいになってしまい、十分なブラッシングができない恐れがあります。ホワイトニング剤は発泡剤を使用していないタイプを選ぶことが大切です。

さらに、歯のエナメル質や歯茎を傷つける可能性があるため、研磨剤の有無もチェックします。歯の再石灰化を促すフッ素は有効成分の働きを妨げることから、フッ素入りのホワイトニング剤は避けましょう。

市販のホワイトニング剤は継続的に使うことがポイントです。無理なく続けられるよう、コスト面も考慮しましょう。

3.歯の着色を防ぐために意識すべきポイント

ホワイトニング後は、白い歯を保つために下記のポイントを意識しましょう。

正しいブラッシングを身に付ける

歯をきれいな状態に保つためには、正しいブラッシングを身に付けることが大切です。歯の汚れや歯垢は黄ばみの原因となるだけでなく、虫歯や歯周病を引き起こします。ブラッシングで落としきれなかった歯垢は、やがて固まり歯石となるため、特に注意しなければなりません。

ブラッシングは歯面に90度に歯ブラシを当てて、軽い力で小刻みに磨くことがポイントです。また、歯と歯茎のすき間をブラッシングする際は、45度の角度で磨きます。汚れが溜まりやすい奥歯のかみ合わせや歯と歯の間は、より丁寧にブラッシングしましょう。

飲食後にキシリトールガムを噛む

唾液は口腔内を保護し、きれいに保つ働きがあります。また、歯の再石灰化を促すカルシウムやリンを含んでいることも唾液の特徴です。キシリトールガムを噛むことで、唾液の分泌を促すことができます。飲食の後にすぐにブラッシングができないときは、口をゆすいでキシリトールガムを噛むと、口臭予防や虫歯予防にも効果的です。

4.歯を白く保ちたい場合は歯医者でのホワイトニングがおすすめ

市販のホワイトニング剤を使用したホワイトニングには限度があります。本格的なホワイトニングを行いたい方、歯を白く保ちたい方には、歯科医院でのホワイトニングがおすすめです。

歯科医院で行うホワイトニングは、主に下記の3つに分れます。

オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングは、歯科医院で直接行う方法です。高濃度の薬剤を使用するため即効性があり、短期間で歯を白くすることが可能です。

ホームホワイトニング

ホームホワイトニングでは、専用マウスピースに薬剤を入れて、自分でホワイトニングを行います。自宅で一日数時間行うことで、自然に歯を白くできることがメリットです。

デュアルホワイトニング

デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法であり、即効性と持続性が期待できます。

審美目的のホワイトニングは保険が適用されないため、約3万~5万円の費用が必要です。しかし、歯のクリーニングだけでなく内部の黄ばみまで改善できることを考慮すれば、費用は決して高くないと言えるでしょう。審美目的のホワイトニングを検討している方は、まず歯科医院に相談してみてください。

まとめ

ホワイトニングは、歯の色調を改善して白く見せる技術を指します。歯が黄ばんでしまう原因は、着色汚れや歯のエナメル質の変化など、さまざまです。

市販のホワイトニング剤と歯科医院のホワイトニング剤は、有効成分が違います。市販のホワイトニング剤は歯の表面のみ有効となる一方で、歯科医院のホワイトニング剤は歯の組織全体に有効です。本格的に歯を白くしたいと考えている方は、歯科医院でのホワイトニングをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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